カラーシャの谷・晶子便り

パキスタン北西辺境州の谷に住むカラーシャ族と暮らすわだ晶子の現地報告。

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ついにキランライブラリー、オープン!

鉄砲水襲う
 8月初めはジャムシェールと多目的ホールや仕事部屋の机や椅子、棚などの大工仕事。8月3日の夜にこれまでにない大規模な鉄砲水がルンブール谷を襲った。ブルドーザーを百台合わせたほどの大轟音と共に、もしかしたらバウック湖が決壊したのかもと思うほどの大量の泥水が谷川の周辺を削りながら恐ろしい勢いで駆け下りた。普段あまりあわてない私もバラングル村が流されるのではないかと村の上にある家の屋根に非難したほどだ。一緒にいたダジャリの嫁さんは全身でがたがた震えながら、「下流の実家に行く」と取り乱すので、「今下流に行く方がよっぽど危ない。いっちゃあだめ。」としっかり抱きかかえていなければならなかった。
 この鉄砲水のために発電所の水路の取込み口が流され、修理してはまた壊れて、1週間ほど電気が来たりこなかったり、水道の水はもちろんストップ、川の水も泥水なので、また昔の不便な生活に戻った。ということは毎日の仕事量がぐっと減り、睡眠時間とおしゃべり時間が増えるということで、ある意味ではそれも悪くはないことかもしれないが。
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写真:川のそばの湧き水を汲む少女たち
 電気が来たので、また忙しくなる。日本大使館へ水力発電所プロジェクトのアフター・レポート作成のために、発電所委員会のミーティングを開いて詳しい報告をきく。この周辺のミニ発電所の中では一番安定している電気を供給していて、水路の決壊意外は発電所の機械の故障も今だなく、頼もしい限りであるが、しかし委員会が保管している記録というものは日本人の目から見るとかなりいい加減で、記録ノートもなくメモ帳のようなものに毎月の収支があっちこち飛び飛びにウルドゥー語で書いてあるから、これは誰が見てもわかりやすいように指導する。

 仕事部屋での活動開始
 ジャムシェール、大工仕事がなくなったので、紙すき作業をやってもらう。以前に村のおばさんや少年たちが仕込んだ紙材料を水に浸けてほぐしリサイクルの紙と共にミキサーにかけたものを漉いてもらうわけだが、久しぶりにやったためというより、ジャムシェールの性格(おおざっぱ。イージーゴーイング)のせいだろう、端っこの始末などがきちっとしない。私がそばで口うるさくいちいち指導するとよくなるが、まかせてやらせていると、またしまりのない形になる。本人はそうと気が付かない様子。ずっとうるさく言うのも、なんだか意地悪おばさんになったようで好きではないが、でもやはり紙作りは将来の現金収入源のメインスポットになるものだから、最初から厳しくきちんとやっていかないと。。
 ジャムシェールが紙漉きをやっている同じ空間で、私はハンディクラフト用のシュモン袋縫い。手織りのシュモン(ベルト)を切って縫い付けて袋にしたものだが、これがぽちぽちと売れ、在庫がない状態が続いているので作り始める。村の娘たちに作り方を教えて、早く彼女たちに任せられるようになりたいものだ。私がやると定規をそばにいちいち計りながら縫うもんで、えらく時間がかかる。それでも手廻しミシンでやるから、思い通りに行かないことが多いけど。ジャムシェールがある程度仕事に慣れたら、他の村人たちも少しずつ参加してもらい、ハンディクラフトの量と質を上げていきたいと思っている。

キランライブラリー、準備万端
 8月初旬に敷物も敷いて、ほとんど準備ができているライブラリー、8月22日の夏祭り(ウチャオ)の後にオープンする予定にしていたが、祭りが済んだら、私がプリンターのカラー・カートリッジの件で今日を含めて3日間チトラールに足止めを食い、オープンが延びている。
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 写真:夏祭りの前日、グルパリックの儀礼を受けたジャムシェールの奥さんと坊や

明日26日夕方にルンブールに戻ると、その翌日はモーリン女史がサイフラー議長のゲストハウスで結核病のワークショップを開くというので、その手伝いをすることになっている。ということで、8月28日(月)にオープンということになりそうだ。

美穂子寄付金からの支援活動
 ルンブール谷の小学生から高校生までの全生徒に教科書を無料支給する活動は1998年から始まっているが、2003年から美穂子寄付金がその支援に参加して下さっている。4年目の今年は、なんと州政府が全生徒に教科書を支給したので、小学校の教師からの強い要望により、ノートを配ることにした。それ以前に進級試験で優秀だった生徒にノートと鉛筆を配った。
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 Teacher distributing the notebooks to the students.


8月28日―キラン・ライブラリーをオープン
 5時45分起床。6時半から仕上げたシュモン袋に付けるタックを作り、取り付ける作業で2時間。水道の水があるうちに大洗濯。午後2時から、待ちに待ったキラン・ライブラリーを開館する。初めから大騒ぎになり、収拾がつかなくなると大変だから、まずはバラングル村の中学生と小学5年生、女子生徒5名、男子生徒5名に声をかける。半分が女子生徒だったからか、ライブラリーがこちらのレベルにするときれい過ぎたのか、みんな緊張気味でとても静かだ。壁に貼ってあるのを見て、「おっ、これを見てみろよ。」などと大声を出す子もいない。
 3時になって、小学2年生と4年生の3人がやってくる。声をかけたわけではないけど、せっかく来たのだから入れてあげる。英語のABCの練習絵本を読ませるが、一人で読めなくて、「これは何と書いてあるの?」といちいちジャムシェールに訊くので、今までのしーんとしていた厳粛な雰囲気がいっぺんにこわれ、少し騒々しくなる。それでも全体的にはとてもいい感じの2時間だった。
 次の日、午後2時前、3年生ぐらいの生徒が群をなして、ライブラリーに向かって走ってくるではないか。嬉しい気持もあったが、チビたちがこんなに来たら、コントロールがきかなくなる恐れがあり、「やばい!」と思ったのも確かだ。ということで、今日は20人の生徒が来た。ジャムシェールがけっこう辛抱強く、子供たちの質問に答えてくれているから、うまくいっている。驚いたのは、みんな英語が苦手ということだ。小学校1年生から英語の授業はやっているのに、4,5年生でも簡単な絵本すらちゃんと読むことが出来ない。ということでほとんどの子供がウルドゥー語の本を読んでいる。
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 写真:2日目のライブラリー
 3日目は25人に増えた。少し慣れたのと、ジャムシェールが仕事部屋でぶどう酒の仕込みをやっていて監視が行き届かなかったことで、えらく騒がしい。それで、4日目で、「あんたたち、ここでは口を使ってわいわい騒ぐのは禁止。目と脳みそを使って本を読みなさい。今日読めなくても、本はなくなるわけじゃないんだから、あせらずに落ち着いて。あんまり騒ぐと、もう閉めちゃうからね。」と怖い顔して一言ぶったら、静かになった。3時からはジャムシェールが、そのうちやろうと置いてあった紙芝居を自ら出してきて、みんなに聴かせてくれた。読み物はICLCの田島伸二氏が制作した「The First Tree」。森林の違法伐採や違法売買が行なわれている反面、植林については無頓着という状況の中で、子供の時から木の大切さ、植林の必要性を少しずつ教えていくことは非常に有意義なこと。多目的ホールもなかなかいい方向に進んでいるではないかと嬉しくなる。
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写真:紙芝居を聴かせるジャムシェール




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