カラーシャの谷・晶子便り

パキスタン北西辺境州の谷に住むカラーシャ族と暮らすわだ晶子の現地報告。

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あー、忙しい!

08年9月末
 そのうち、ゆっくりできる日がくるだろうと思いながら、その日はやってこない。2階の作業室建築と、1階でのハンディクラフト作業に追われ、このところずっと休みなし。10月に日本のツアーの方たちが多目的ホールにいらっしゃるというので、ハンディクラフト製品を増やしたいと、意気込んでいるが、9月は作物や果物の収穫時期なので、研修隊の女性も忙しくて集まりが悪い。
 ここ数日は、クルミの収穫時期が過ぎたので3~4人来てくれているが、来たら来たで、彼女たちにやってもらう作業を準備しておかないといけないので、私は裁断やしつけ縫いなどの下準備に追われることになる。研修隊の女性は、それぞれ作業の向き不向きがあって、例えば織り仕事のエキスパートであるアスマーラ・アーヤ(アスマールの母さん)に、織り物を切った端にクロスステッチをやってもらうと、クロスがインベーダーみたいにふにゃふにゃになって、横の線もまっすぐにならない。ほどいてやり直してもらうがまただめ。一方、十代の娘ルビザールはちょっとの説明ですぐわかり、きれいにクロスステッチができるが、シュモン(織り紐)を布に縫い付ける作業は今一だ。アスマーラ・アーヤはこの作業はちゃんとできる。そういうことで、それぞれに応じた作業をしてもらわなければいけなくなるが、その作業を生み出すのが大変ということだ。
 今月の新製品はチトローヤックの携帯電話ストラップ、メガネ入れ、携帯電話入れ、パスポート入れと多彩であるが、研修隊にやってもらう作業過程が少なく、私自身でやる作業が多くて、それで忙しいのだ。そのうち全行程を研修隊に任せられる日がくることを願っている。
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写真:携帯電話入れポシェットの試作品。


2階の建築の方も、大工さんや石壁作業人たちが、家の収穫作業で来なかったりで、7月や8月ほどのピッチでは進んでいない。それに日が短くなって、朝8時から夕方7時まで仕事をしていた大工さんも今は朝8時半から夕方5時半と労働時間も短くなっている。それでも、ベランダの柱の石壁は半分近く終了し、ま、私が一時帰国する11月末までには内装はともかく、ハンディクラフト作業室と手漉き紙作業室の二部屋と外のベランダはできるだろう。DSC05426.jpg
写真:2階のベランダの石壁も半分以上できた。
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自然の力はすごい

9月14日
 朝晩は室温が20度を切るようになった。もう夏が終わったのかと思うと少しさみしくなる。
 時間の流れの速さを思うと愕然とするが、周囲の自然の流れ、あるいは自然の力には恐れ入ってしまう。春に戻ってきた時、周りの風景は裸の木々しかなかったのが、その木々は白やピンクの花を咲かせる。そうこうするうちに若葉の中から出てきた実が実る。まず一番は5月末の桑の実だ。「あれ、もう桑の実が実ったの?」と驚いているうちに、アンズが実る。梅のように小さくて堅い実だったりんごもいつの間にかたわわに実っていた。ジャマットの庭のぶどうも日陰の割には今年は粒も大きくみじみじしく実った。クルミも、去年のクルミを大事にしすぎてまだ使い切らないうちに、今年のクルミの収穫がきてしまった。
 たいして手もかけないのに、自らおいしく実をつける木々たちの生命力に感謝!そして乾杯!とワイングラスをかざしたいところだが、今年はワインを仕込めなかった。
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写真:リンゴの収穫をするジャムシェール夫妻

物価高で大変だ!
このところの物価上昇はどうにかならないものか。自分のところでできるぶどうはしれているので、ワインをたくさん必要な家は、ぶどうの産地から大量に買ってワインを仕込む。(私はたくさんは買えないが。)しかし、昨年木箱(50x50x70cm)一箱が1200ルピーだったのが、今年はなんと2500ルピーに跳ね上がっているではないか。その値段だったら、とてもじゃないけれど手が出ない。あきらめざるを得なかった。
 ついでにいうと、小麦が90~100キロで昨年1000ルピーちょっとだったのが、今は2100ルピー。油も1キロ70~85ルピーだったのが今は130~160ルピー。チトラールまでのジープ代片道が40~50ルピーだったのが、今は70~100ルピーに跳ね上がっている。現金収入が少ないカラーシャの人たちはチトラールに用事で出るのも大変だ。(しかし時代と共に町に出る用事は増えるばかりだ。)カラーシャだけでなく、ふつうのパキスタンの庶民の生活は大変だろうと思う。カラーシャはまだ畑や家畜があるからいいけれども、安い給料で大家族を抱えている都会の人々は今まで通りの生活はやっていけないのではないだろうか。パキスタン人民党が政権をとったが、とても人民のための政治をやっているとは思えない。

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写真:豆の収穫時期だというのに、おととしの豆が残っていたので、それを長い時間かかって煮て、大半を2階の作業人のランチに味付けて出し、少し分けた自分用のに黒砂糖を入れてぜんざい風にしました。だんごはコーンスターチと小麦粉を混ぜてゆでました。

8月は活気のある月だった。

8月28日
カラーシャ谷は5月半ばからは観光シーズンなのに、うちの村にあるサイフラー・ゲストハウスはずっと閑古鳥が鳴きっぱなしだった(7月から長期滞在している木村さんは別として)。8月に入ってようやくお客が来出し、8月半ばになると、22日のウチャウ祭めがけて来る客で、一時は部屋がいっぱいになり、お客を断ることもあった。
 サイフラー・ファミリーにとって多少のまとまった現金収入が入ったと思うと、いつも世話になっている私を含めた村人たちも安堵する。なにしろ、サイフラー議長は週に2、3回、裁判やらミーティングでチトラールに行かねばならない。そのほとんどが共同体を代表したものなのに、弁護士の支払いなどの経費の多くを負担せざるを得ない状況だ。長男のヤシールもしょっちゅう村の病人を病院に連れていっていて、そういった薬代や交通費もバカにならないと思う。

 8月1日にデンマークからビルギッタがやってきた。彼女は毎年7月に一ヶ月滞在するのだが、今年は6月にイスラマバードでデンマーク大使館爆破事件があって滞在はキャンセルになるかと思ったが、彼女のバラングル村やサイフラー一家への愛情と熱意は何よりも強くて、一ヶ月遅れでやってきた。彼女は2000年ぐらいからカラーシャを題材にしたビデオ・フィルム制作に精を出していて、これまでに何回かフィルムフェスティバルにも出して賞をもらったりしている。60代半ばの年齢なのに創作に向けてのエネルギーはまねができないくらいだ。そして新しく編集した作品を泊まり客を捕まえては自分のパソコンで披露する、そのエネルギーもすごいと思う。自分に関してのものを人に見せたり、宣伝するのが苦手な私は爪の垢でも煎じて飲んだ方がいいかもしれない。

 8月11日には佳世さんがやってきた。佳世さんはおよそ3年間北極圏近くのカナディアン・インディアン(先住民)の村で、教育および伝統文化・言語の保存のためのボランディアをやっていた女性で、日本で職を探すまでの間ルンブールに遊びにきたのだ。バンコク経由でインドまで飛び、インドのダラムサラ(ダライラマが住むチベット難民の町)で、チベット人の友達に会い、ダライラマの講義を拝聴してから、国境を越えてパキスタンに入り、ラワルピンディとチトラールに一泊ずつ泊まっただけで超特急で移動してきたというから、これまたすごいバイタリティの持ち主だ。カラーシャ谷を訪れるのは5、6回目なので、ここら辺りの状況もわかっているし、まず旅慣れているんで、逆に有意義な旅の情報を教えてもらえる。

 佳世さんは、私が力を入れているカラーシャの織りにも興味があり、今回はシュモン織りとチトローヤック織り(皮靴の足首を縛る紐)を習得。特にチトローヤックは織りが複雑だし、私が織る以外、村では今や織る人がいなくなってしまっているけっこう貴重な織りなのだ。佳世さんは帰国したら、小物作りが大好きな横浜の藤田さん(われわれの活動の支援者でもある)にも教えるというし、ビルギッタにも教えたので、チトローヤックはカラーシャ好きの外国女性の趣味の織り物になったりしてね。
 苦手なパソコンの使い方(DVDの焼き付けなど)も、佳世さんやイタリアに生まれて育ったなおきさん、イタリア人ベッペたちから教えてもらってほんとうに助かった。
 なお、佳世さんはこちらから帰国したあと9月半ばに、静岡県掛川市郊外の静岡カントリークラブで、「カナディアン・インディアン」についての現状報告会を催すので、近郊の方はぜひ足を運ばれるといい。入場料は500円(資料代として)。

 8月22日はウチャウ(夏祭り)は例年通り、チーズをたくさん食べた後、グロム村にみんな集まって歌と踊りが開かれた。グロムの急な坂を登り下りするのは人工股関節に支障がこないかと
少し躊躇したが、踊り場に行ったら、なんだか踊れる気がしてテンポの早い踊りとゆっくりテンポの踊りに1曲ずつ参加した。来年はもっと踊るぞ。
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写真:佳世さんも踊りの輪に入って。

8月31日
 2階の建設作業は祭りや、ボンボレットで葬式が2回あったりして、一時中断していたが、今日現在、石壁の第一工程は終わっている。大工さんは天井の板張り作業をしているが、もう少しで終了しそうだ。
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写真:2階の増築、ここまでできたよ。
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