カラーシャの谷・晶子便り

パキスタン北西辺境州の谷に住むカラーシャ族と暮らすわだ晶子の現地報告。

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盛りだくさんメニューのライブラリー

10月25日
 10月11日に静江さんがやってきた。イスラマバード~チトラールの直行便が夏から復活したので、前日の昼に成田を出発して、翌朝にチトラール到着が可能になったので、テロリストの脅威なども感じることなくカラーシャの世界に入れるわけだ。
 このところ1年に2回バラングル村にきている静江さんと同じく、これまたこのところ年に2回村に訪れている元バッグパッカーのムシバッタジー(村の人からつけられたニックネーム)もやってきたので、多目的ホールのキラン・ライブラリー活動は急に活気をおびている。

 2階に作業室を増築するために7月10日から大工さんが入ってから2日間は私だけでライブラリーを開いたが、その後は私はハンディクラフトの制作や指導で忙しく、スタッフのジャムシェールも大工さんの助っ人で、ライブラリーまで手が回らなくなってしまった。8月終わりになって増築の方もひと区切り付き、こちらに少し気持ちの余裕ができたら、今度はクルミの収穫シーズンに入ってしまった。となると、子供たちにとってはライブラリーどころではなくなる。
 クルミの木から落としたクルミを拾い集める手伝いをすると、所有者から大人の両手に3杯ぐらいのクルミをお礼としてもらえる。それに、所有者が収穫し終わったクルミの木の枝に実が残っていると、見つけた者がパチンコや石で落としてもらっていいことになっているので、子供たちは学校が終わると、クルミの木から木へと歩きまわり、服の懐やビニール袋いっぱいクルミを集める。それを店屋にいってクルミ5個と1ルピー分のお菓子と交換してもらうのだ。

 そのクルミの収穫が9月末で終わったので、そろそろライブラリーを開きたいと思ってたところにいいタイミングで静江さんとムシバッタジーの登場になったわけだ。ライブラリーは、子供たちが学校から帰って昼食を食べ終えた後の午後2時から開いているが、子供向けの400冊ばかりの本の中から、読みやすい本を選んで、表紙が見やすいように低い本棚の上に並べて、まずは各自の好みの本を読書してもらう。しかしまあ、パキスタンでは、本は声をだして読むので、うるさいことうるさいこと!本を読むといっても、ほとんどが低学年の子供たちで、「シィー、エイ、ティー、キャット」など単語のスペルを叫んでいるだけちゅうのが多くて、多目的ホールは図書室というより、喧噪の中での幼稚園のお遊戯会に近いかもしれない。
 今年からは谷にやってくるバックパッカーたちにも協力してもらっている。ツーリストのライブラリーと勘違いしてホールにやってくるバックパッカーを招き入れて、子供たちが読めない単語を教えてもらったり、簡単な英語で自己紹介をしてもらって、生きた英会話の勉強も兼ねた「子供たちと外国人ツーリストの即席交流の場」を作るのだ。先週は日本人バックパッカーの、お笑いを取り入れたパフォーマンス、ムシバッタジーのカラーシャ語での自己紹介と村の子たちのあだ名紹介などで、子供たちだけでなく大人の私たちもけっこう楽しませてもらった。
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写真:ムシバッタジーのあだ名紹介
 また、大工さんの手伝いで忙しいジャムシェールの代わりに、仕事の休暇で戻ってきていた村の若者や高校生などに頼んで、ウルドゥー語の読みきかせもしてもらっている。今週からは小中学生の小さいお兄ちゃんたちも進んでウルドゥー語の絵本をみんなに読んでくれている。これはウルドゥー語があまりわからない小さい子供たちだけでなく、読み聞かせをしている本人にも良い勉強と経験になっていると思う。ヤシールも自ら、紙芝居をやってくれた。
 電気がついている日は最後にDVD上映を行なっている。ナショナル・ジオグラフィックの動物記録、昔の漫画映画トムとジェリー、また村のもう一人の常連、デンマーク人のビルギッタが編集制作したカラーシャのドキュメンタリーなどを上映。こういうDVDプレーヤーのセッティングは新しい機械に弱い我々に代わって、ムシバッタジーがやってくれている。

 最後の大ヒット、ライブラリー活動の大きな改善は、これまで主にスタッフのジャムシェールにやってもらっていたホールのビニール・カーペットや机の拭き掃除をライブラリーに来た子たちに手伝ってもらうようになったことだ。だいたいがカラーシャには拭き掃除というものが存在しないので、教えること自体が無理だと私は諦めていたが、そこは元教員静江さんの出番。子供たちをうまく使い、指導していくのだ。おかげで1週間に1度やるかやらないかだった拭き掃除が毎日やれて、ホールもきれいになった。拭き掃除だけでなく、帰りがけに本をきちんと並べる指導、ホールに入る時と出る時にいっぺんにわぁーとなだれ込んでいた子供たちに、列に並んで静かに出入りする指導も静江さんがやってくれたので、喧噪の幼稚園がライブラリーらしくなってきている。

 昨年から静江さんとお友達Nさんたちで、日本の小学生とカラーシャの小中学生の小規模な交流プロジェクトを始めているが、来週はその日本の小学校の映像の上映を行う予定だ。日本の小学校の様子がカラーシャの子供たちの目にどう映るか興味津々というところ。その報告は次回のブログで静江さんにお任せしよう。 

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ムー、考えてしまいますねぇ。

10月10日

 今日、予定通り、日本のツアーの方たちが多目的ホールにいらしてくださった。この日のために一ヶ月間、外に出るのもままならないくらいにハンディクラフト作りに励んだわけだが、結果はむむむのむ。今回力を入れて新しく開発した、シュモン(手織り紐)をあしらった袋類は何と一つも買っていただなかった。(もちろん、今回買ってもらえなくても、腐るものではないんでいいといえばいいのだが。)昨夜夜中までかかって今日のために品物を展示する際に、悩みに悩んで価格を2割増しにしたのがいけなかったのかとも思うが、何せ何せ、このところの物価の上昇がすさまじい上に(主食のとうもろこしや小麦が昨年に比べて、ついに2倍になった!)、ルピーの下落で(私は春に2階の作業室建築費用のためにけっこうな額の円を両替したのだが、そのとき1万円が6千ルピーだったのが、今は7千ルピーになっているという。)私は何もしなくても損をしてしまって、2重苦のがんじがらめの状態にいるのだ。
 このたび1ヶ月間で作った20個ほどの袋類がすべて売れたとしても1万ルピーちょっと、つまりは2万円にもいかないわけだ。1万5千円ぐらいか。その全売上げの2割が運営費に、1割ぐらいが材料費に、その残り7割が研修隊と私の賃金になるわけだが、研修隊の働く時間は1日2時間、私は少なくとも1日8時間、多くて12時間だから、それで1ヶ月間に1万5千万円の3割半、5千円の賃金はあまりにも低すぎるのではないかと唖然としてしまうのだ。しかもそれは全部売れての話だからね。ちなみに今やっている作業室の増築工事費は私個人のお金でほとんど賄っている。ライブラリーや大人の学習会などの活動は無給で働いているし、自分でもなけなしの金でよくやっているよと感心するぐらいだ。(もちろん、友人、家族の支えがあってのことですが。)
 Income Generating の活動は続けていくことに意義がある。実際、研修隊の女性にとっては日に2時間、時間が空いた時に働いて、ちょっとした現金収入ができて助かっていると思う。私も一生この谷から一歩も出なければ、これでなんとかなるかもしれないが、日本に時々帰らねばならない身なのだ。飛行機代は天から降ってこないのだ。目標は一年働いてせめて飛行機代でもでればと思っているが。何にしても、品物が売れないと、この現金収入源の活動をつなげていけない(generatingできない)。時間のかかる手作りの品物だし、本来の生活をやりながら、時間の空いた時に仕事をするというのが基本的なポリシーなので(従来のカラーシャたちの生活体系をこわしたくない)、大量生産はできないから、大量に注文をとって外に送り出すことは無理だ。今の状況では、この谷を気に入り、我々の活動にも理解を示して下さるツーリストが製品を買ってくださることに本筋を頼るしかない。
しかし、現状はなかなか・・・ということで、今日はちょっと落ち込んでしまった。
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団体の旅行客が来る日だけ、ホールはハンディクラフトの展示場に変身する。
この写真は8月上旬のもの。
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