カラーシャの谷・晶子便り

パキスタン北西辺境州の谷に住むカラーシャ族と暮らすわだ晶子の現地報告。

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キラン・ライブラリーにて(二)大切にしたいカラーシャ語での読み聞かせ

2009年5月27日
キラン・ライブラリーにて(二)大切にしたいカラーシャ語での読み聞かせ

ライブラリーを開けると、まず好きな本(ウルドゥー語や英語)を選ばせ、40~50分間の自由読書。

自由読書の間、ウルドゥー語の音読もままならない低学年の子と、学齢に達していても学校に行っていない子は、奥の大きな敷物の上にかたまってすわり、うきうきしてスタッフのジャムシェールを待っている。本を読んでもらうのだ。ウルドゥー語の本を、カラーシャ語に訳してもらいながら聞く。生活環境にない物や事柄が出て来ると、その説明も必要だ。
読み聞かせの最中にも、自由読書をしている子どもが「これ、なんて読むの?」とやってくる。自由読書をしていたうちの何人かも、いつの間にか混じって聞いていることもある。
ライブラリーには、子ども好きでウルドゥー語の読み書きができる存在が不可欠だと、ウルドゥー語のできない私は思っている。

この春には、約三週間、ボランティアのヤシールにウルドゥー語の37文字を教えてもらってきた。自分の名前をウルドゥー語で読み書き出来るようになるのを目標にしようと思っていたが、全部の文字が終わらないうちに春祭りになり、畑仕事の季節になってしまった。家族と一緒に昼間は耕作地へ。上流の耕作地の夏家に移っていってしまった子もいるし、見慣れた顔の子が夕方薪を背負って村に戻ってくるのも見かける。文字の続きは、次の冬休みに。
 
2006年夏の開館当初は、ウルドゥー語の読み書きができる4年生以上が対象で、植林啓蒙の紙芝居や日本の昔話の紙芝居なども見せてきた。その後、学校以外で学習する機会のないことを考慮して、2ヶ月の冬休みに文字の勉強の機会をつくったので、低学年の子も訪れるようになってきた。
これまでに、試行錯誤をしながら、ジャムシェールやボランティアのヤシールを中心に、高学年の子や中学生、時には休暇で村に帰っている若者に頼んで、本や紙芝居の読み聞かせをしてもらうようにしてきた。自分たちの言語ではないウルドゥー語や英語での読書は、ハードルが高い。それに比べて、カラーシャ語での読み聞かせの時の子ども達は実に楽しそうだ。

ここキラン・ライブラリーで物語の世界にふれ、その楽しさを味わってほしい。また、読書をとおして様々な考え方や情報も得てほしいと願っている。

IMG_2269.jpg
 写真:カラーシャ歌の冊子を読み聞かせるヤシール(わだ撮影)

参考:
○中学校(6年生~8年生)から、ムスリムとカラーシャが一緒に学ぶようになり、授業はすべてチトラール語で行われる。
今年、小学校を卒業した5年生13人は、全員中学校へ進学した。以前この学年だった子のうち、途中で2人が飛び級で上学年へ、途中で4人が学校に来なくなったとのこと。
○高等学校(9年生~10年生)は隣のムンムレット谷にあり、親戚の家に寄宿して通うようになる。

「深い洞察」の内容にはなりませんでしたが、実情の一端を知っていただけたでしょうか。次回のライブラリー訪問は、冬休み2010年1~2月を予定しています。(しずえ)

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本が読めない??

2009年5月19日 
今回と次回は、静江さんの深い洞察によるカラーシャの子どもたちの教育事情を掲載します。

***
キラン・ライブラリーにて(一)本が読めない??
 
2時のオープン迄、まだ一時間もあるというのに、子ども達の「ライブラリ~」「ライブラリ~」の合唱。無理もない。カラーシャは時計を持たない家がほとんどだし、だいいち時刻を見て生活していない。日の出日の入りに合わせ、食事時刻だって何時間もずれるほどだ。
ここ多目的ホールの一角にあるキラン・ライブラリーには、小中学生のためのウルドゥー語と英語の本を中心に用意している。
まず好きな本を選ばせ、自由読書。最近来ている子は・・・学校に通っている高学年ぐらいの子はウルドゥー語の本を音読している子がいたり、一冊の本をじっくり読んでいる(ながめている?)子がいたり・・・小さい子たちはすぐ別の本を持ってきたり、人の本をのぞいておしゃべりしたりで落ち着かない。学校に通っている子でも、はたしてどの程度、本が読めるのかどうか?意味が分かって音読しているのか?

ボランティアで来てくれているヤシール(村のカラーシャ小学校の教員)にたずねてみると、ウルドゥー語の文字をおぼえて文章が大体音読できるようになるのは、3~4年生ぐらいだそうだ。4~5年生ぐらいで簡単な文が理解出来るようになり、5年生ぐらいになると新聞も大体読める(難しい言葉以外は分かる)ようになるとのこと。
彼には申し訳ないが、素直には信じがたい。年一回の進級試験以外に子ども達の到達度をチェックしているようにはみえないし、だいいち小学校の教育環境が実に厳しい。

ここバラングルー村にあるカラーシャ小学校は、ルンブール谷唯一のカラーシャのための政府の小学校だ。他の村からも通って来るのため、児童数は、プレスクール0年生と1年生~5年生で、在籍116人にもふくれあがっている。
にもかかわらず建物内には2教室しかなく、屋根はあるもののオープンベランダを2教室分のスペースとして使用し、屋根がない青空に2教室。必然的に「雨が降り休校」になる学年が存在するのだ。
教える側も、カラーシャの先生とチトラリーの先生2人ずつで計4人。日本に比べよく休みをとるので、大体3人で6学年の授業をしている。カラーシャ小学校では、カラーシャ語で(だが、チトラリーの先生はチトラール語で)授業が行われる。
学年によって3教科~6教科を学び、英語の教科書以外はウルドゥー語で書かれているとのこと。
子ども達の親の世代で教育を受けている人は少なく、ウルドゥー語を読み書き出来る人は数えるほどだ。家庭や村ではカラーシャ語で話し、チトラリーの先生や村のムスリムとはチトラール語で話し、教科書の読み書きはウルドゥー語で。こんな環境の中で、本当に小学校高学年で新聞も大体読める(難しい言葉以外は分かる)ようになるとしたら、その優秀さに感心してしまう。

次回は、このような中で、私たちが大切に考えている「カラーシャ語での本の読み聞かせ」について、お知らせします。

参考
○現在は、ほとんどの子どもが小学校に通い始めるが、低学年のうちに学校に行かなくなる子が4分の1ぐらいいる。0学年の場合は、学校生活に慣れずに行かなくなっても、また1年遅れで学校に行く子もけっこういるとのこと。
○このカラーシャ小学校のすぐ近くに、ムスリムのための公立小学校もある。週一回の朝礼は一緒に行い、交流をはかっている。

今回はここまで~~~(しずえ)
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